いつも、ありがとうございます。
日本ヘッドセラピー協会の西川聡です。
ヘッドセラピーの技術を磨く中で、ふと気づいたことがあります。
それは、相手の緊張を解くのは技術ではなく、相手が感じ取る『ここは安全だ』という確信なのだということです。
実は昨年末の12月29日、我が家に一匹の老野良猫、ミミちゃん(推定14歳)を迎え入れました。彼女を保護するまでの120日間は、まさに「癒やしの本質」を問い直される日々でした。
今回は、ボロボロになりながら外で必死に生き抜いてきたミミちゃんと、私たちの格闘の記録を大変長いのですが、お話しさせてください。
8月:母の切実な願い
始まりは、昨年の8月。記録的な暑さの中でした。
母が神妙な面持ちで私に切り出したのです。
「駅の近くにいる野良猫を引き取りたい」
母が語るその猫は、毛はボサボサで、他の猫にいじめられ、顔には引っかき傷。それでもひっそりとそこに居て、人慣れしておらず、誰も近づけない……そんな姿でした。
「あと1〜2年の命だと思う。でも、最後は人間を信じて、暖かい場所で逝かせてあげたい」
私も駅に行く際、その猫を見かけたことがありました。愛嬌のある顔で、猫好きにはアイドル的な存在。逢えると「今日は幸運な日だ」と思えるような子です。
けれど、毛づくろいもできないほどボサボサで、決してキレイとは言えない姿でした。
娘を病で亡くしている母が、そんな顔で懇願するのです。
直感的に、これは自分にできる**「意味のある最後の親孝行になるかもしれない」**と確信し、私は頷き、「分かった!いいよ!」と伝えました。安堵した母の顔は、今も忘れられません。
9月:始まった「知恵比べ」の毎日
しかし、保護には非情なタイムリミットがありました。
区画整理の影響で、ミミちゃんの唯一の居場所であり、ご飯をくれていた家が取り壊されることになったのです。
この家が無くなれば、彼女が生きていくのは難しい。それが、私たちが受け入れを決めた理由でした(私たちの家には、野良猫だった子がすでに2匹います)。
9月から私たちは動き出しました。ボランティアさんの力を借りて捕獲機を設置し、毎日4回(6:30 / 11:00 / 15:00 / 17:00)の見回り。
けれど、14年もお外で生き抜いてきたミミちゃんは伊達ではありません。
想像以上に賢く、どんなに工夫をしても、経験と勘で絶対に捕獲機には入りませんでした。人間は、彼女にとって「信じるべき対象」ではなく、**「警戒すべき対象」**でしかなかったのです。
外の世界は、毎日が「戦争」だった
ミミちゃんが人間を拒絶するのには、悲しい背景がありました。
地域には猫への理解が乏しい方も多く、大声で威嚇する方や水をかけたりする方もおりました。
私たちは聞き込みに回りました。「どこに出没しているか」、そして「もし捕まえられなかった後に、餌場を提供してくれる人はいないか」。しかし、返ってくる反応は、協力的な方よりも否定的な言葉の方が多かったです。
外の猫たちは、気候やわずかな水とご飯を頼みの綱に、縄張り争いやカラスの襲来と戦っています。
先進国の人間には想像もできない、毎日が命がけの本当の「戦争」なのです。
区画整理の期限が刻一刻と迫る中、私たちから逃げ回るミミちゃんを見て、私たちは「焦り」と「無力感」と「悲しみ」に苛まれる毎日でした。
12月29日の奇跡
幸運にも工期が延長され、最終期限は1月7日に。
私たちは作戦を切り替えました。11月から準備した**「段ボールハウス作戦」**です。
「この箱の中は安全だよ」と時間をかけて教え込み、中で休んでいるところを網で塞いで捕まえる。YouTubeを見て勉強し、何度もシミュレーションを重ねました。
これが正真正銘、最後の手札。
失敗すれば、もう二度と捕まえることは不可能。私たちも、毎日が緊張の連続でした。
そんなお互いが緊張する日々の中、その時は突然訪れました。
年末の寒い日の夕方、12月29日 17時15分。
いつもなら人の気配だけで逃げ出すミミちゃんが、寒さのせいか、体調のせいか、その日だけは段ボールの中から動きませんでした。
「捕まえたかもしれない!すぐに来て!」
スマホからの母の震える声。私は駅まで自転車を必死に漕いで駆けつけました。
すると、そこには……。
段ボールハウスの中で固まって、観念したミミちゃんがいました。
これから始まる、第2の猫生(ねこせい)
14年というあまりに長い年月。
雨の日も風の日も、冷たい視線にさらされながら、わが身ひとつで頑張ってきたミミちゃん。
その小さな体には、過酷な外の世界を生き抜いてきた誇りと、深い孤独と痛みが刻まれていました。
これからミミに、時間をかけて伝えていきたい。
**「人間も、案外、優しいんだよ!そういう人間もいるよ!」**ということ。
私たちのチャレンジは、今、始まったばかりです。
しかし、まずは怪我を負っているミミちゃんを病院に連れて行かなければなりません。きっと大きな病気を抱えていることは、分かっていましたから……。
(続きはまたどこかで書きます)


















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